【ちょっと経済の話】
先日来、米国仮想通貨取引業者FTXの破綻が経済事件としてマスコミを賑わしています。
今や新しい投資商品として何かと話題になる仮想通貨でありますが、同時に倒産や詐欺などの未成熟なマーケット特有の経済事件も引き起こしている業界です。
今回は特に仮想通貨を生成する会社ではなく、その仮想通貨を取引する世界3位の取引業者が破綻したことから仮想通貨のリーマンショックとも云われています。
すでに仮想通貨の業界における大手レンディング会社の倒産も云われています。
FTXは米国MIT(マサチューセッツ工科大学)の出身、若干30歳で150億ドルの資産を持つに至った仮想通貨の寵児サン・バンクマン・フリード(SBF)が設立した会社で、傘下には100社以上の子会社を持ち日本にも子会社が存在します。(日本法人は日本の監督官庁がしっかりしているので日本での資産の棄損はないとされています。)
簡単に破綻に至る経緯を簡単に触れておくと、11月2日最大手のバイナンス社(米国)がFTXのトークン(ブロックチェーン上で動作する暗号資産)を売却する方針を発表したところから始まります。
そこからバイナンス社によるFTX社の買収提案、提案撤回など1週間の間にFTX社の信用棄損が著しくなり、FTXの子会社アルメイダリサーチによるバイナンス社に対するトークンの買い取り提案がバイナンス社によって拒否されたところで、FTXのトークンの価値が90%以上下落し万事休すでした。
翌日には米国の破産法 チャプター11の申請(日本でいう会社更生法)に至ります。
驚くことは、たった1週間余りの期間で世界3位の取引高を持つ仮想通貨取引業者が破産申請に追い込まれることになるまでのスピードです。
またその後の1週間で明らかになったずさんな経営というより、ほぼ経済犯罪と云っていい会社運営です。
FTXの子会社バイナンス社の社長は経営者SBF(FTX CEO)の大学当時の同級生であり恋人であった女性(MIT教授の娘)であり、その父親がMITの教授、その教授の後輩教授が監督官庁の関係者(同じくMIT教授)であることから、大変香ばしい匂いをプンプンさせており民主党政権を巻き込む経済事件にもなりそうです。
またFTXは、仮想通貨によるウクライナへの米国からの送金の窓口にもなっており米政府から600億ドルを超えるウクライナの経済支出がFTXを経由していることから、SBFがジョージ・ソロスに続く民主党への大口献金者であることに妙な説得力を持たせています。
さらに先ごろの米国中間選挙に前後して様々なアクションが起きていることも非常に興味深く映ります。
ヨーロッパ系金融機関の関係者によれば、FTXを守れず破綻させたことは、バイデン政権の弱体化が遠因にあるのではないかとの穿った見方もあり今後、注視したいところです。
外形的に状況を見る限り、FTXだけの放漫経営、経済犯罪ではなく複雑な思惑や政治背景、癒着、収賄、贈賄など疑惑てんこ盛りになっていますのでここも興味深いところです。
米国に法治国家としての機能が残っているのであれば真相が明らかになっていくことになるでしょうし、そうあってほしいと考えております。
令和4年11月23日執筆