日本の円安はどうなる?

【ちょっと経済の話】日本の円安はどうなる?

物凄いスピードで円安の方向に向かっています。
150円程度はありますと以前にも書きましたが150円を視野に入れる段階になると、その先も見えてきました。
正直なところ、ここまで早く150円を視野に入れるとは思っていませんでした(年末くらい)が、世界の経済状況の変化のスピードがあまりに早く為替市場が混乱しているとみていいでしょう。

今日は円安が進んだ場合の日本の将来的な経済予測を書いてみます。
この記事はあくまで投資を促す目的の記事ではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
以前の記事にも書きましたが、まずドルと円の需要と供給のバランスから見てみます。

現在の米国の金利は3.5%程度、日本の金利は0.25%(10年国債 日銀がコントロール)程度であります。
このことから日本で金利を目的として投資をするより、米国で投資すると3%以上利回りが高いわけですから円からドルへの需要喚起が起きることは当然です。
10月に入って日銀が円買い介入を行ったことで一時2.5円程度円高に振れましたが、1週間もしないうちに元の水準に戻りました。
またニュースで聞いたこともありましょうが日本の10年ものの新規国債の入札不調が報道されています。
銀行にしても今国債を買うのは得策でないと判断するのも当たり前です。
(実際には2年国債、30年国債はもっと金利が高い)
もっともこの入札も限られた入札者による相対取引なのでこれだけで日本国債が買われないとは言い切れませんが。
ともかく日本の低金利がドルに対する需要と供給の関係から供給過多になっておりドルに対し円が安くなっている理由の大きなものであることは間違いないです。
今後も、おそらく日銀が金利政策の変更がなされる時まで円安は続くものと考えて間違いないです。
仮に日銀が国債の金利をこのまま維持しようとするならば、170円が視野に入ってくるでしょう。
なぜなら、この半年で40円近い円安になっていますがその間に米国金利と日本の金利差が2%程度開いていますが、米国は今後もFRBは金利を上げることが予想されるからです。
実際13日に発表された米国CPI(物価指数)も予想外の上昇をしており、インフレに対応するため50bp(ベーシスポイント0.5%)ないしは75bpは金利を引き上げるでしょう。
仮に日本の金利を今のままで米国がこの調子で金利を上げていくと年末には米国金利は4.5%を超えることも考えられます。
そうなると金利はより開くのでより円安に振られることになります。
以前にも書きましたように意図的に円安誘導するためにファンド等が日本国債を売り叩くことはできませんが、今回の1兆円程度の円買い介入を行ったのに相場が動かなかったことを考えると、日銀もどこかの時点で政策変更を余儀なくされると思います。
時期的にはファクターが多いので予想しにくいのですが黒田日銀総裁の退任時期(来年4月)までのどこかになろうかと思います。
実際に日銀が目標としているコアコアCPI(エネルギーと生鮮食品を除く物価指数)は1.7%まで来ていますので、2%になった時点で政策変更がなされるでしょう。
今の調子だと1月頃には2%達成するのではないかと思われます。
その段階で一方的な円安は終わるでしょう。
日本は韓国のように米国に合わせて金利を上げてもなお通貨を売り浴びせられることは、日本の対外債権などを考えるとありえませんので落ち着いた動きになるでしょう。
今後、日本は対ドルで150円くらいのレンジで経済活動を行っていくことが必要になると思われます。

円安悪者論もありますがサプライチェーンの国内回帰や、輸出産業にとって国際競争力が相対的に強くなるので国内における雇用などにも好影響があります。
実際、日本の高度成長の時代は1ドル200円程度の為替レートであったことを思い起こすと、円安誘導をして国際批判を浴びることなく円安になるのであれば、この円安をうまく利用して国際競争力を強くする工夫をするしたたかさを政府に期待したいと思います。

実のところ、どんな会社よりも為替差益が一番享受しているのは日銀と政府の外為特別会計で、ざっくり今年の政府予算の半分くらいにあたる40~50兆円は、現段階で為替差益が出ている計算になりますので、このお金で経済活性化や老朽化したインフラ整備などの景気刺激策をやれば、スタグフレーションに陥っている各国より早く景気回復できるものと思います。

岸田政権、と云うより財務省がそのような舵取りができると今一度、Japan as No1に返り咲けると思うのですがいかがでしょう?

令和4年10月17日執筆

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