特集 【第三次世界大戦は起きる】第15回

秒読みに入った第3次世界大戦

9月以降のウクライナの反攻によってドネツク、ヘルソンと云った要所の奪回やロシア国内における30万人に及ぶ予備役の招集、つい昨日にはクリミア大橋の損壊と、ロシアのウクライナ国内への侵攻はいよいよ敗戦の様相を呈してきた。

これらのことはロシア、プーチン政権にとっては2月の侵攻開始時には予想もつかないことであったろう。
当初、プーチンは、習近平に対しオリンピック閉会からパラリンピック開会までのインターバル期間にウクライナを屈服させる予定で侵攻を企てることを伝えていたとされる。
1週間程度でウクライナはロシアの軍門に下りゼレンスキーはおそらくはポーランドあたりに亡命し、その地で亡命政権を樹立すると考えていたはずである。
実際にNATO側(主に米国)もロシアの侵攻時点でゼレンスキーに対し一時避難のために航空機を準備していたとも聞く。
しかしゼレンスキーはウクライナに留まり徹底抗戦をする決断をする。
それから7か月が過ぎた現在、優勢であったロシアは今や劣勢に回り、プーチンはロシア国内にも不安を抱える状態にまで追い込まれている。
なぜ世界でも有数の軍事大国ロシアがここまで追い込まれたのか。

様々な説があるが大きな理由は2つであろうと考える。

まず、第一に2014年のクリミア侵攻における成功経験がウクライナの防衛力を甘く見ることになり、首都キーウを簡単に陥落させることができると考えていたことから、戦闘が長引いた場合のシュミレーションがなく行き当たりばったりになったこと。
軍事専門筋の分析では、プーチン本人がKGBの出身であり軍人でないことから戦況分析ができず、周辺の軍人もプーチンに進言することもできず軍の統制もままならない状態に陥っていると分析している。
そのことが特に兵站に影響を及ぼしており、補給された軍需品が軍の部隊同士で奪い合いになってロシア軍同士で撃ち合いになったことも伝えられている。

そして第2にNATO側の兵器の優位性がある。
ロシアはソ連時代から圧倒的な物量で戦う共産軍スタイルの戦い方である。
第2次世界大戦においてもナチスに対し人海戦術で挑んだ結果、圧倒的戦死者の山を築いて勝った。
しかし現在では人殺しも効率化されハイテク兵器で効率よく正確に相手にダメージを与える兵器が、圧倒的な火力を保持するロシア軍に対し有効なダメージを与え続けている。
さらに物量についてもウクライナの後ろにはNATO諸国が武器の援助をすることで無尽蔵と云っていい兵器供給を受けることができている。
この戦争は間違いなく長引けば長引くほどロシアにとっては消耗の激しいものとなり泥沼化していくことは素人の私にも容易に理解できる。

さてこのような状況から今後、ロシアがどのようにこの戦争の落しどころを探るのだろうと思っていた矢先、ノルドストリーム1、ノルドストリーム2(ロシア、ドイツ間のガスパイプライン)が爆破されるという事件が起きた。国際社会ではこのテロ行為に対し犯人捜しが始まったが私は十中八九、米国の軍事行動であろうと推測している。
あくまで状況証拠しかないがバイデンの発言、国防省の発言、パイプラインの敷設されている地域に立ち入れる可能性のある者、利害関係者の損得を考えると米国以外は考えにくいとの結論に達している。
背景を書くと長くなるので簡単に書くと、EU域内における厭戦ムードの蔓延(EU域内でデモが頻発)、中途半端な停戦を米国は望んでいないこと(ロシアを完全に疲弊させたい)後戻りできない状況を作り出すことを意図してこの爆破は行われたと考える。
米国はトンキン湾事件(ベトナム戦争)大量破壊兵器保持(イラク戦争)など前科、前歴は山程ある。
何十年後かの米国公文書公開でこの事実は表に出てくるだろう。
ともかくロシアは完全に追い詰められた状況に置かれることとなった。
頼みの綱であった習近平は第20回党大会における自身の保身が最優先事項でありプーチンとは距離をおき始めているし、金正恩はあまりに非力である。

プーチンは四面楚歌の状況である。
今のところロシア政権内部から観測気球として核使用が匂わされているが、実際のところ核使用のハードルはさほど高くないとみている。
またバイデンが「ロシアが核使用の準備をすれば米国がロシアに対して警告をする」としているが、ノルドストリームの件を考えると米国は核使用の兆候をつかんだとしてもおそらく発表はしないであろう。
Xディは、ロシアに対する経済制裁によってロシア経済が破綻することが明確になった時になるのではないかと考える。
それまでにロシア国内においてプーチンを排除する勢力が台頭してプーチンを排除してくれることを祈るばかりである。

 

令和4年10月10日執筆

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